紅茶の基礎知識

運命の石という名のお菓子「スコーン」

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スコーン

スコーンの名前の由来

アフタヌーンティーに欠かせないスコーンは、無骨な丸いゴロッとした石のような形をしています。

スコットランドのスクーン城に安置されていた「運命の石(Stone of Destiny, Stone of Scone)」が、このお菓子のモデルなのだそうです。

この石には「石碑のある場所は、必ずアイルランド人の子孫が統治するだろう」という預言があり、歴代の王は、この石の上で戴冠式を行ってきました。

現在、スコットランドがイングランドから独立しようとして住民投票を行うなど、イギリスは内部で民族問題を抱えていますね。実は、「運命の石」もそうしたギクシャクした関係を生み出していた原因の一つだったようです。

1296年、スコットランドに勝利したイングランド王、エドワードⅠ世は、この石を戦利品として持ち去ります。しかもあろうことか、玉座のイスにはめ込み、ウェストミンスター寺院に設置します。そして歴代のイングランド王は、この椅子の上で戴冠式を行ってきました。

つまり、「スコットランド」の誇りともいえる石を、まさに文字通り「尻に敷いて」戴冠式を行ったわけです。当然のことながら、このことはスコットランド人の憎悪を生み、イングランドへの敵対心が生まれました。

ところが1950年、民族主義者による盗難にあい、その際になんと2つに割れてしまいます。このようなまさに流転の「運命」をもった「スクーン城の石」は、1996年、ブレア政権によって、700年ぶりにスコットランドに返還されました。現在はエディンバラ城に保管されています。

スコーンを食べるときには、ちょっとしたウンチクを知ったかぶりするのもいいですね。

おしゃれでかわいい。けど、重い!!

アフタヌーンティーといえば、スコーン、スコーンといえばアフタヌーンティーというくらい、スコーンは日本人にもよく知られたお菓子です。スタバをはじめとするカジュアルなカフェでは定番のメニューになっていますね。

とはいうものの、モコモコしていてのどに詰まりそうになるので、私はあんまり好きなお菓子ではありません。しかも、小麦粉を丸めて食べているような気分になるので、罪悪感もたっぷり。

ということで、スコーンにうらみはありませんが、私は苦手です。

それはさておき。

スコーンには、ジャムをのせ、さらにその上にクロッテッド・クリームやホイップクリームを塗って食べます。これをクリーム・ティーと呼びます。作り方は、地域によって若干異なるそうです。

基本的には、小麦粉、ベーキングパウダー、ミルク、バター、卵で生地を作り、これをオーブンで焼くだけ。サイズも一定ではなく、小さなものも大きなものもあるのだそうです。プレーンの生地だけではなく、ドライフルーツやチーズなどを入れたりすることもあります。

食べる時には、ナイフで水平に2つに切り分けます。もっともスタンダードな食べ方は、最初にバターを塗り、ジャムを重ね、最後にクリームをたっぷりつけるというもの。

クリームは、こってりとした脂肪分の高いクロッテッド・クリーム(clotted cream)を用いるのが伝統的なスタイル。最近では、ホイップクリームが使われることもあります。ジャムは、イチゴのジャムだけではなく、ママレードなどでもOK。

ですが……。

ただでさえ糖と油の塊でできている生地に、バターを塗って、ジャム、そしてさらにクリーム……。

ぎょぇぇぇ……!

正直申しまして、「スゴイものを食べてるなイギリス人……」と思いました。まあ、日本人も餡子の上にホイップクリームをのせたりしますけれども……。

ストレートの紅茶を5杯くらい飲まないと、私には呑み込めそうにありません。

「ドロップスコーン」は早い話がホットケーキ

スコーンは、アフタヌーンティーの定番スイーツ。甘いものは大好きなのですが、さすがに(年齢なのか)クリーム・ジャム・クリームのようなコッテリ系のスイーツより、シンプルなもののほうを好むようになってきました。

このドロップ・スコーンdrop scone(またはスコティッシュ・ドロップ・スコーンScottish drop scone)は、そんな私にはちょっとホッとするお菓子です。
pancakes, forever favourites

スコーンという名前がついているので、やはりビスケットのようなしっかりとした歯ごたえのあるお菓子なのかと思ったら、早い話がホットケーキを小さく焼いたようなかんじ。

「ドロップ」というのは、鉄板などの上にスプーン一杯分の生地を垂らして小さな丸い形に焼き上げることからついた名前です。そのまま、バターやジャム、クリームなどをちょいとのせていただく気軽なもの。生地にドライフルーツやナッツ、抹茶やココアなどを混ぜて焼いてもおいしそうですね。

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