まさに、女の敵!ともいえるお菓子。
ショートブレッド shortbread 。Shortcakeともいうそうですが、もちろんイチゴの乗っかったケーキの代名詞ではありません。
パッケージを開けた瞬間に広がる濃厚なバターの香りが印象的なお菓子です。小麦粉とバター、砂糖で作ったビスケットで、サクッとした歯ごたえがなんともいえません。
実は大好きなんです。
"男には、負けるとわかっていても、闘わねばならない時がある……"とかなんとかいっていた映画がどっかにあったような気がしますが、 私にとっては、 "女には、太るとわかっていても、 食べねばならないものがある……"というお菓子の一つ。
大好きで、無性に食べたくなります。小麦粉とバターと砂糖ですから、もう、絶対に太らないわけがない。そもそも、このshortとは「脂肪分に富んでいる」という意味なんだそうです。あえて見ないようにしていますが、きっとカロリーを見たら飛び上がるんだろうな、と思っています。
まさに、知らぬが仏。
ですから、あえて売り場には近づかないようにしています。丸いお皿に焼くのが一般的で、それを細長い長方形やくさび形に切り分けるのだそう。
ちなみにこのお菓子は、スコットランドの大みそかには欠かせない伝統的なものなのだそうです(日本の年越しそばみたいなものなのかな……)。午前0時の鐘が鳴らされたあと最初に家を訪ねた人が、その家に幸運をもたらすという言い伝えがあり、その訪問のお礼にこのお菓子をもらう慣わしなのだそうです。
おサレなフィンガーサンドイッチ
はじめてアフタヌーンティー用のサンドイッチを見たときには、「なんとまあ、みみっちいサンドイッチだ」と内心思いました。気取るのもいいけど、懐石料理じゃあるまいし、こんなに小さかったら腹の足しにはらないよ、と。
が、これは「フィンガーサンドイッチ」という、由緒正しいアフタヌーンティー(貴族階級発祥)の定番メニュー。
がっつりと"腹の足し"になるものが欲しいなら、"ハイティー(労働者階級発祥)"に行け、という話だったのか……ということを知りました。
所詮、私は庶民……。
本格的なアフタヌーンティーでは、ケーキなどを食べる前に、サンドイッチに手を付けるのがマナーなんだそうです。つまり、最初から満腹目指してがっつり食べるようなシロモノではないんですね。レディーが細くて白い指で、ちょっとつまんで一口で食べられるようなもの、というのらしいです。
スモークド・サーモン、チーズ、ハム、ツナ、レタス、トマト等々いろいろなサンドイッチがあります。
なかでも、最もポピュラーかつ由緒正しいのが、キュウリのサンドイッチcucumber sandwichです。スタンダードなキューカンバーサンドイツチは、向こうが透けて見えるくらい薄くスライスし、塩と酢を振りかけたキュウリを、薄く切った食パン挟みます。キュウリを2層に並べ、その上にもう1枚パンを重ねます。パンの耳は切り落とし、全体を3等分して指でつまめるくらいの小さな三角形や長方形に切って出されるのです。
たかが、キュウリのサンドイッチをなぜそんなにありがたがるのだろうと思いましたが、これにはちゃんと歴史的な背景がありました。
今でこそ、もっとも安い野菜の一つとなりましたが、アフタヌーンティーの文化が生まれた19世紀には超高級品。キュウリは、夏野菜ですから、季節外れにキュウリを食べられるということは、温室を持っている富裕層に限られていたのですね。まさに、高価で贅沢のきわみ、憧れのサンドイッチだったのです。