茶の学名はカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)
お茶の樹を見たことがありますか?
日本は世界でも茶の生産量が多い国なので、茶樹をみることはそれほど難しくないですよね。けっこう身近なところに植えられていることが多いです。
「茶」は熱帯および亜熱帯が原産の常緑樹です。学名を「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」といいます。「カメリア」という名前がついているところからもわかるように、椿の仲間です。花の季節は秋で、10月から11月ごろに、小さなツバキに似た白い花を咲かせます。可愛らしい花ですね。
原産地は、インドやベトナム、中国南西部といわれています。もともとは温かいところの植物ですので、その生産地はある程度限られます。
主な産地は、南緯35度から北緯45度の熱帯から温帯にかけての地域で、この地域を特に「ティーベルト」と呼びます。もちろん、日本もここに入りますね。日本での栽培北限は現在、宮城県のあたりまで。
同じく、お茶の産地として有名な中国の福建省、インドのダージリンやアッサム、スリランカなどもこのティーベルトに含まれます。
ところで。突然ですが、緑茶・紅茶・ウーロン茶の違いって何だかご存知ですか?
ずばり、「加工の仕方が違う」。
つまり品種は違っても、もともとはすべて同じ茶葉だというわけです。
緑茶ができるまで
茶葉を採取したら、すぐに加熱します。加熱の仕方は日本は「蒸す」で、中国は「炒る」です。こうすることで茶葉の発酵を止めます。
「発酵」というと、納豆とかお味噌とか、ヨーグルトなどといった食品が思い浮かびますが、ここでいう「発酵」はちょっと違います。
お茶の製造過程で使う「発酵」というのは、簡単にいうと茶葉を「酸化」させることです。
植物には、「酸化酵素」という物質が含まれています。「酵素」はたんぱく質ですから、熱に弱いのです。リンゴをむいてしばらくお皿においておくと、茶色に変色してきてしまいますよね。いわゆる「酸化」が起きるわけです。
茶葉も同様に「酸化酵素」が含まれているので、揉んだりすると酸化が始まります。これをお茶の製造工程では「発酵」と呼びます。つまり、細菌の働きによっておこる「発酵」ではありません。
お茶は、この発酵が起きないように、茶に熱を加えてしまうわけです。ですから、茶葉も美しい深い緑色を保ちます。
実は、このあとにあえて「菌類を使って発酵」させる加工を行う(これを「後発酵」といいます)のが、中国の「黒茶」です。ダイエットに良いといわれる「プーアール茶」は、その一つです。
ウーロン茶は半発酵
ところが、ウーロン茶や紅茶は、茶葉を刻んだり揉んだりすることによって、発酵(酸化)するように促します。
発酵の程度が弱い段階でできるのが、「白茶(はくちゃ)」で、さらに発酵を強めていくと「青茶(青茶)」になります。
いわゆる、ウーロン茶というのは、この青茶の一種です。発酵を途中で止めるので、茶葉にはまだ青みが残っています。水色(すいしょく:茶を抽出したときの水の色)も、やや黄味がかった色になりますが、紅茶ほどの赤味はありません。
紅茶は茶葉を酸化させたお茶
酸化酵素のはたらきを高めて、茶葉が黒ずんでくるまで発酵させるのが紅茶です。水色もオレンジ色になります。
茶葉は同じなのに、加工の仕方を変えることによって、こんなに違った味わいになるなんて不思議な植物ですよね。
それを考え出した人もすごいなあと思います。
まとめるとこんな感じです。