イギリスの伝統 紅茶論争
のほほんと、特にこだわりもなく紅茶を飲んできた私にとって、そこまでするのかイギリス人!!と思うのが、「紅茶論争」。
代表的なのが「ミルクが先か、後か」の論争です。
別にどっちでもいいだろ~、と思いますが、イギリスの人たちにとっては国論を二分する大真面目な問題なのだそうです。日本人の、「キノコの山か、タケノコの里か」みたいなものなのかなあ……。なんて、思ったりして。(ちなみには私はキノコ派ですが)
MIFとMIA
国際通貨基金?
「それは、IMF」と、自分にツッコミを入れてしまったこの略称。
なんだそりゃと思ったら、紅茶にミルクを先に入れるか後に入れるか、という主張なんだそうです。これを巡って、イギリスは大真面目に長い間、国民レベルで論争を展開してきたというから驚きです。さすが、紅茶の国。
先にミルクをカップに入れ、そのあとに紅茶を注ぐ( milk in first )がMIFです。
逆に、紅茶を注いだあとミルクを足していく( milk in after )がMIAです。
別にどっちだって、いいんじゃないのと思いましたが、私は無意識のうちにMIAでした。ちなみに私はコーヒーもそうです。
How to make a Perfect Cup of Tea
これに一応の決着をつけたのが、2003年6月24日、英国王立科学協会から発表された「紅茶のおいしいいれ方 How to make a Perfect Cup of Tea」と題する論文。
これによって科学的にMIFが美味とされましたが、結局のところは「個人の好み」という見解で落ち着いています。だったら、最初からそんなこと、どーでもよかったんじゃ……。
と、思ったのは言うまでもありません。
おいしい紅茶の科学とは
真面目なのかウケ狙いなのか、英国王立化学協会が「完璧な紅茶の入れ方(How to make a Perfect Cup of Tea)」というのを発表したのは、2003年のこと。
そもそもこの英国王立科学協会というのは、1660年に設立された由緒正しい学会です。1660年は、日本でいうと江戸時代で、ちょうど「伊達騒動(仙台藩のお家騒動)」が起きていました。
ということで、およそ350年以上の歴史を持つ学術団体です。多くのノーベル化学賞の受賞者も出しています。
そんな由緒正しいところが、たかが「紅茶のいれ方」について、大真面目な論文を発表したんです。
完璧な紅茶のいれ方とは
そこで、この化学者が世界に発表した大真面目な“おいしい紅茶の(化学的な)いれ方”は、どんなものかというと……
≪用意するもの≫
- 茶葉は、アッサムのOPかP。(茶葉のグレードについてはこちら)
- 水は、軟水を(日本の場合は水道水でOK)。
- 新鮮な、低温殺菌牛乳(基本的には日本ではあまり見かけません。一般的なのは「高温殺菌牛乳」です)。
- お砂糖(白砂糖)
- やかん
- ポット(電子レンジに対応するもの)
- 陶磁器のカップ
- 目の細かいストレーナーとティースプーン
- 電子レンジ
「電子レンジ」が入っているあたりが、なんとなく化学的な感じがします。きっと、電子が飛び交い、分子レベルでおいしくなるのに違いない!と期待……。
≪10か条≫
- やかんに、新鮮な軟水を注いで火にかける。時間、水、火力などを無駄にしないようにし、適量を沸かすこと。……なるほど、一杯の紅茶にも「環境問題に対する配慮」が見えます。さすが、化学者!
- 湯が沸くのを待つ間に、ポットの1/4まで水を入れたものを電子レンジで、1分間加熱。ポットを温めておくこと。……電子レンジはここで使うんですね。化学反応のためではないのか~。
- やかんの湯が沸いたら同時に、ポットの湯を捨てる。……このタイミングは大事ですね。熱エネルギーを無駄にしてはいけません。
- カップ1杯につき、ティースプーン1杯の茶葉を、ポットに入れる。……茶葉は、お湯を注ぐ直前にポットに入れるのですね。
- 沸騰しているやかんのそばまで、ポットを持っていく。そして、茶葉めがけて勢いよくお湯を注ぐ。……やかんをポットに、ではなくポットをやかんの傍に持っていくことがポイント。やけどにご注意ください。
- 3分間じっくりと蒸らす。……カップラーメンと同じです。
- 陶磁器のカップは好みで選んでよい。ただし、大きめのマグカップが理想的。……ウン万円するようなティーカップじゃなくていいんですね。ちょっと意外&安心(←貧乏人)。
- カップに先にミルクを注ぐ。そこに、あとからストレーナーを使って紅茶を注ぐ。……ということで、王立化学協会は、「ミルクを先に入れろ」という主張にお墨付きを与えたわけです。
- お砂糖は好みで。
- 紅茶の飲み頃の温度は60~65℃。これ以上高いと飲みにくく、また、下品な音を立ててすすることになる。
なかなか面倒くさそうですが、本当にこの方法で紅茶をいれると、確かにおいしいですよ。お試しください。