労働者階級から生まれた習慣
イギリスの紅茶文化を築いたのは、上流階級ばかりではありません。
紅茶が広く一般に普及すると、労働者階級の人たちの習慣が逆に中産階級や上流階級の人々に影響を及ぼすこともありました。それが、ハイティーHigh teaの習慣です。
19世紀の後半、スコットランドや北イングランドの地域の労働者階級で始まった習慣で、帰宅してからダイニングキッチンで、軽い夕食をたっぷりの紅茶でいただくというものです。
名前の由来は、定かではなく、ハイバックチェア(高い背もたれのあるイス)に座ったから、ダイニングテーブルが高かったから、ティーフードがハイカロリーだったからなどと諸説あります。
この習慣は、やがて中産階級の人たちに「日曜日の夕食」として取り入れられていくようになります。
『ビートン夫人の家政読本』にも、ハイティーに関する記載があります。
そのなかでは、ハイティーでは、肉が重要な役割を担い、ティーディナーとして地位づけられています。中産階級がこの習慣を取り入れたことによって、ハイティーはやがて豪華なものになっていきました。
ハイティーのメニュー
夕方6時ぐらいに、料理を食べながらお茶を飲みます。
スコーン、サンドイッチといったアフタヌーンティーの定番に、サラダ、ローストビーフ(チキン)、パイ、チップス(フレンチフライポテト)、炒り卵、チーズ、デザート、果物と、もはや「ちょっとお茶を」というより、すでにガッツリ食事するためのお茶の時間ですね。