紅茶の歴史

【紅茶の歴史】 喫茶のはじまり

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茶葉・茶樹

中国からはじまった喫茶

お茶は、中国南部とその周辺地域が原産といわれています。

ではいつごろから飲まれていたのかというと、明確にはわかっていません。

中国の湖南省長沙には、「馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)」と呼ばれる紀元前2世紀ごろのお墓があります。世界史的にもよく知られた有名な遺跡の一つですが、その名を世界に知らしめたのは、1972年の発掘調査でした。

発掘は、戦後の1950年代から行われていましたが、1972年の調査において、女性の被葬者の遺体が発見されます。驚くべきことにその遺体は、まるで生きているかのようで、肌にはまだハリが残っていたといいます。さらに、膨大な数の副葬品も、世界を驚かせました。

さて、その副葬品のなかの帛書(はくしょ=絹の布に書いた書物)に、実は「茶」を示すと考えられる文字がありました。

紀元前2世紀は、今から約2200年ほど前、ちょうど弥生時代が始まったころですね。これが、現在明らかにされている最も古い「茶」の利用に関する記述といわれています。つまり、少なくともお茶には2000年を超える歴史があるということです。

ウーロン茶も紅茶もまだまだ若い!

 

中国茶

さて、日本に、喫茶の風習が伝わったのは、飛鳥時代と言われます。聖徳太子の時代ですね。仏教や儒教、さまざまな技術などの大陸文化とともに、「茶」も伝えられたといわれています。しかし、記録として残っているのは平安時代の初期となります。同じころ、中国では陸羽という人物が『茶経』という書物を著しました。これは茶樹の解説やお茶の種類、いれ方、道具、産地などといった当時の茶に関する情報を集めたお茶のガイドブックのようなものです。

ここに書かれている当時のお茶は、「団茶(※)」で、現在のような煎茶やお抹茶ではありません。

このように古い歴史をもつお茶ですが、「ウーロン茶」と「紅茶」は、お茶の歴史から見れば新顔です。現在の「ウーロン茶」に近いお茶が生まれたのは17世紀後半で、「紅茶」は、さらにそれに遅れること100年の18世紀の後半です。つまり、「ウーロン茶」も「紅茶」も、とても若いお茶なのです。

団茶:緑茶や紅茶の茶葉を粉にして固め、それに麹菌を植えつけて熟成させたもの。地域によってさまざまな種類があり、現在でも世界中で飲まれています。

紅茶が世界史を動かす

しかし、この2つのお茶、特に「紅茶」はヨーロッパに伝わると爆発的な勢いで普及していきます。

最初こそ、高価で贅沢なものとして珍重され、嗜好品というよりは薬として扱われていましたが、わずか200年の間に、階級を問わずあらゆる人々の口に入る飲み物へと変化します。

世界の歴史を動かした植物というのは、さまざまなものがありますが、「紅茶」もその一つです。新たな文化や産業技術を生みだし、それが原因となって社会が変わっていきました。そして紅茶は、戦争すらも引き起こすこととなっていくのです。

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