紅茶の歴史

【紅茶の歴史】ビートン夫人の家政読本

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ビー敦夫人の家政読本

アフタヌーンティーを開きたいけれど

さて、上流階級の女性たちの間に広まっていた優雅で華やかなお茶会、アフタヌーンティーにはさまざまな準備やマナーがたくさんありました

複雑な作法をふまえた上品な身のこなし、華やかでかつ品性の感じられる室内装飾、それと調和する茶器、知的な会話と豪華で贅沢なティーフード……。

夢のように華やかな上流社会のアフタヌーンティーを、中産階級の女性たちが憧れないわけはありません。とはいうものの、所詮産業革命によってにわかに成り上がった人たちの多い中産階級。

いざ、自分もそうした世界の主人公になりたいとは思っても、そもそも何をどうすればよいのか……。下手に猿まねをすれば、恥をかきます。

よい奥様になる方法

そんな中産階級の女性たちのニーズが高まる中で、ある一冊の本が大変な話題となります。イザベラ・メアリ・ビートンという女性の著した『ビートン夫人の家政読本(The Book of Household Management)』です。この本は、イザベラ自身の経験をもとにして作られたといいます。

イザベラも、中産階級の出身でした。大変高い教養を身につけていた女性でしたが、新婚当初は、女夫人としてのふるまいかたがよくわかりませんでした。どうしてよいかわからず、ずいぶんと悩んだようです。

イザベラの夫は、出版社を経営しており、『イギリス婦人家庭雑誌』という雑誌を出版していました。イザベラは、高い教養を活かしてその編集作業を手伝っていましたが、自分のような中産階級の女性は少なくないに違いないと思い、初心者にもわかりやすい家政本を出版したのです。

特に、レシピは充実していることで有名です。

イザベラ自身は、それほどお料理上手ではなかったようですが、お料理初心者にもわかりやすいように、人数やシーン別のパターン、素材の分量を明記するといったレシピの表記に工夫をします。こうしたレシピは、イザベラ自身がメイドらとともに実際に料理をしながら、確認していったそうです。

さらに、アフタヌーンティーの作法、茶器の選び方、メイド採用のポイントや育て方、接客のマナーに社交場の注意点、そしてもちろん紅茶のおいしいいれ方に至るまで、「かゆいところに手が届く」充実した内容でしたので、たちまち大ヒット。

初版で6万部、その後10年間に200万部を売り上げる大ベストセラーになります。

当時の新米主婦には心強いマニュアルとなりましたが、今でも多くの女性に支持されるものとなっています。

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こちらはKindle版です。著作権が消滅していますので、¥0でダウンロードできます。

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